ラ・クーニュース
2015.10.17スタッフ日記

出会いから別れまで

今年に入ってから、さみしいお別れが立て続けにありました。

私の前職場の動物病院からお付き合いさせていただいていたワンちゃん達が、ここ数年で虹の橋を渡って逝ってしまいました。

前職場が病院だったので、生後2カ月~3カ月時の初めての病院デビューが出会いの始まりだった子もいます。

それから、初めてのワクチンや初めての血液検査、お散歩デビュー、初めてのトリミング・・・と、

たくさんの「初めて」の時を一緒に関わらせてもらいました。

病院を辞めて、ラ・クーをオープンさせてからは、トリミングだけは私にと、追いかけてきて下さり、申し訳なさと嬉しさでいっぱいだった事を覚えています。

ワンちゃん達のそれぞれの家庭での日々の生活の様子をお聞きして、一緒に笑って、思い出を飼い主様と共有させて頂いていました。

時にはワンちゃんに関係ない、個人的な私生活での出来事の話題になったり、人生相談になったり、「季節の食べ物は食べないと!」と旬のものの差し入れを頂いたりと、「親戚のようだなぁ~」と思ってしまう事もありました。

ワンちゃん達が病気を患った時は、その経過を聞いて様子をみながらシャンプーやトリミングをしてきました。(病院でのトリミングへ戻られた方もいて、それも賛成です)

10年以上のお付き合いをさせていただく間には、ワンちゃんとのお別れだけではなく、飼い主様とのお別れもありました。

いつもお会いして、ワンちゃん達の話をしてくれていた飼い主様が亡くなってしまう辛さは、今でも乗り越えられないくらい寂しいものでした。

大きく言ったら人生のうちの数年間を、ワンちゃんを通して一緒に過ごさせていただいた という事だと思っています。

そんな風にありがたいおつきあいをさせていただいたお家のワンちゃん達も、14歳、15歳、16歳・・と高齢になり、

1か月ごとにシャンプーやトリミングへの負担が大きくなり、「今月も来れた」「来月は来れるかな・・来れるはず!!」というものになっていきました。

ガンの腫瘍や、心臓病、腎臓病、肝臓病など、それぞれの病気がある重い症状の子達です。

そんな重い症状の子達のシャンプー・トリミングをお受けできるのは、長いお付き合いで、経過も教えていただいているからです。

飼い主様と築いて来れた信頼関係があるから任せて頂けるんだと思うからです。

もちろん、とても危ない状況なので、もしもの事もあるというお話もさせてもらいます。

シャンプーやカットは、命をかけてまでするほどの事でも無いと思う反面、

飼い主様の「キレイにしてあげたい」「布団で一緒に寝るから、キレイしないと」という事情も分かりますし、その思いに答えられるのは私しかいないんだと思っていたのでギリギリまでお受けしていました。

ですがそれでも、それらの事を乗り越えられなくてお受けできなかった事もあり、申し訳ない思いでいっぱいになる事もあります。

10年越えのお付き合い、考えたら凄いことだと思います。

毎月シャンプーに来てくれるワンちゃん、2か月おきにトリミングに来てくれるワンちゃんと飼い主様との10年以上の歳月は、大きいです。

ワンちゃん達の画像を振り返ると、若かったころの姿と最近の姿では、やはりすごく差があって、

あっという間だったように思いますが、一緒に歩いてきたんだな・・・と感慨深くなります。

そんなワンちゃん達の訃報を受けてから飼い主様とお会いする時は、本当に胸が苦しくなります。

思い出話に笑ったり、いなくなってしまった現実に泣いたり。

「最後、キレイにしてもらっていて良かった」「まだサラサラだったよ」と言っていただくと、私のしている事の意義を考えさせられます。

私も自分の愛犬や愛猫との別れを何度も経験していますので、失ってしまった時の感情は分かるつもりです。

飼い主様達は、私の親世代、それより少し上の世代の方々なので、もう犬を飼う事はしないと仰います。

亡くなった子の穴埋めをしてくれるのは次の子であることは確かなのですが、今や、ペットも高齢化ですので安易に次の子を迎え入れることはお勧めできません。

次の子を迎え入れてもらえれば、お付き合いがまだまだ続けられる事になりますので何よりも嬉しいのですが、そうはいきません。

ワンちゃん達との別れと、飼い主様との別れ、それが本当にさみしいです。

最後に「いままでありがとう。お世話になりました」とご挨拶いただいてもピンと来ず、また来月会える様な気持ちになります。

飼い主様がくれたワンちゃんとの出会い、ワンちゃんがくれた飼い主様との出会い。

大切だったな、嬉しかったな、ありがたかったな、と感謝の気持ちでいっぱいです。

ラ・クーを始めて13年目。

今ラ・クーに通って下さっているお客様方ともお付き合いを深め、信頼していただけるようにありたいと思います。

高齢になって、シャンプー・カットが危ない作業になってくる中で、

たくさんあるリスクを1つでも多く乗り越えられる信頼関係を築いていきたいと思います。

一歩踏み込んだお付き合いが出来たら嬉しいですし、スタッフにもそんなお客様との関係を作れるトリマーになってほしいです。

いつか来る最後のシャンプー・トリミングの後に、「ありがとう」と心から言っていただけるようにありたいです。

ご来店頂いた時になかなかじっくりお話しする時間も無くて申し訳ないのですが、日々のワンちゃんに起こった事のお話は、ぜひ、聞かせて下さい。ご予約のお電話の時でもいいです。

今治療している事や、不安に思っている事、心配な事のお話も教えていただけると助かります。

「シャンプーしてもらえないかも」と、病気や症状を事後報告する事だけはしないで下さい。

シャンプーやトリミングは人が思うより大変なことです。

今出来る最大限の事が出来るように一緒に考えさせていただきたいです。

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特定なお客様方との個人的なエピソードを一方的に書いてしまいましたが、シャンプーやトリミングは全ての子に平等にさせていただいています。

個人的な考えを書くことを悩みましたが、考える機会をくれたお客様とワンちゃん達に感謝の意味を込めて。。。

これからもラ・クーにご来店下さるお客様の気持ちに寄り添えるお店でいられるように頑張りたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。